世界の楽器から(アジア編:韓国)
某TV局の長寿番組、
「世界の車窓から」のパクリっぽいタイトルですが、世界の民族楽器を多くの方に知って貰い、その楽器や音楽も含め、紹介する国にも興味を持って貰うために、池フェスの新しい新コーナー!!その名も、「世界の楽器から」 今日はアジアの韓国 韓国打楽器楽奏の魅力を運んで音楽列車は行きます~♪
(ファファファッファッファファ~ララ~ラ~ラ~ラ~ラ~~♪)
-----------------------------------------------------------------------------------------
内からほとばしるエネルギー! 韓国・朝鮮の民族打楽器合奏
◆韓国伝統民族族音楽 韓国打楽器楽奏の魅力!!
韓国伝統民族族音楽は、日本も他の国々もそうであるように、「祭り」と関係が深く、
農業に携わる民が、天の神、地の神に豊作を祈る時、収穫を祝って神への感謝を捧げる時、その季節の節目節目に行われる祭りに欠かせない音楽です。
即興性にトランス性を併せ持つビート感溢れるアンサンブルが魅力の韓国打楽器楽奏。
踊りながら叩く演奏などもあり、もともと農民たちから生まれた音楽なので、いたって庶民的。その起こりは、五穀豊穣をお祈りする祭りの音楽ですが、今でも韓国では、人が大勢集まる時やお酒の席には、たいていチャンゴという太鼓が聴こえてきます。
きっとチャンゴの太鼓の音が、韓国の人たちの強さや優しさを表現しているのかも。
「楽器の種類と特徴」
・チャンゴ
チャンゴは、チャング(장구)ともいい、大きな両面太鼓で、韓国・朝鮮半島の代表的な太鼓です。
もとは古代インドで生まれ、西域~中国伝来の腰鼓です。
木をくり貫いた筒の両面に動物の皮を張った太鼓のことで、日本には小太鼓(つづみ)
の砂時計型太鼓の一種で、形状は日本の鼓とほぼ同じ形状。
日本の大鼓(つづみ)を大きくしたような砂時計型の胴を持ち、軽い桐や柳の木をろくろでくりぬいて作る胴のふくらみは左右で違います。ふくらみの大きい左面はちょうど厚手の牛皮や馬皮を張り、手のひら、あるいはクングルチェという竹の根の先に硬木の玉をつけたバチで低音を響かせます。済州島の巫女は音色を柔らかくするためバチの先に布を巻きます。
小さな右側には少し薄い犬や山羊などの皮を張り、割り竹を細長く削ったチョ(ヨルチョと呼ぶバチ)で鋭い高音を叩いて出します。特に2、3年ものの若い犬の皮は澄んだ音が出るそうです。雅楽の三の鼓と共通の祖先を持ちますが、日本と違って天候や場に応じて締め紐で自在にチューニング出来るよう合理的に改良されています。
右面は天を、左面は地を象徴し、奏者(人)と一体となって発せられるその音は大地を潤す雨を表し、福を呼び、災厄を払うと言われています。
「杖太鼓」と書くように、竹の細バチとマレットを組み合わせて、竹のしなりを利用した「バシッ」というサワリ音と、「ダン」という鈍い中低音を組み合わせて叩きます。
左右それぞれの鼓面を叩くだけでなく、両手で片面を叩くさまはビジュアル的にも楽しませてくれます。
普段は座って演奏しますが、*農楽(ノウアク、のうがく)などでは、肩に吊るし踊りながら叩いたりもします。
リズムの事を「チャンダン」といい、太鼓の右側を叩く音を「タ」、左側を叩く音を「クン」、両方同時に叩く音は「トン」といい「トンタタクキタクン」と口で言いながらチャンダンは習得して行きます。チャンダンが口でいえるようになればノリを掴んだことになるので、アンサンブルは出来る様になります。
打楽器合奏のほか、農楽・*巫楽(シナウイ)・歌曲・器楽(*散調)に用いられ韓国楽器中最も広いジャンルで活躍する楽器です。
古典的な器楽、歌曲、巫楽などの伴奏では、片バチと素手で叩きます。
・農鼓(ブク)
木をくり貫き、両面に馬や牛の皮を張った朝鮮半島に古くからある両面太鼓で、半島南部の全羅道では、埋鬼鼓(メグブク)と呼ぶ土地もあります。
直径50~60センチ前後で、厚さ30センチほどのものが多く、低音で基本リズムを受け持ち、マーチングドラムに似た両面太鼓で、片バチで基本ビートを担当します。
桐や松の桐(きり貫き胴も桶胴もある)に皮を張り、紐で締め、くさびを一列に打って皮を引き締めて作ります。
皮は4、5年ものの雄牛が最高と言いますが、馬でないとダメだという土地もあるそうです。形は月を象徴し、音は雲を表しています。
韓国南部、特に珍島や済州島の古いプクはクサビの幅や厚みが大きく奄美諸島や波照間島の女性宗教者が持つ古いタイプのチヂンとよく似ています。
チヂンは昔、神に仕える女だけが叩く事を許された神聖な太鼓で、雨乞いなどの宗教儀礼で歌や踊りの伴奏に使われていました。済州島の巫楽ではチャンゴはあまり使われず、ザルの上にプクを立て、弾力のある女竹の地下茎のバチ2本で右面だけを叩きます。
・ソゴ(小鼓)
蓮宗の柄太鼓に似た柄つき太鼓で、主にプンムルノリ(農楽)に使われます。
直径20センチくらいの小さいのから直径40センチ以上の大きいのまで、地方によって様々な大きさがあります。
枠は薄くへいだ木や竹板の曲げ物で作られ、鼓面に赤・青・黄の三色で巴紋が描かれた
ものが多い。
帽子に付いた長いテープ状のサンモをなびかせ、目まぐるしく飛び跳ね旋回する曲打ちはプンムルノリの最大の見せ場。
念仏芸能者が使ったから、法鼓という名もあります。
・チン
チン(징, 鉦)は、真鍮で作られた大きな銅鑼で、紐をぐるぐる巻きにした大きなマレットで叩き、驚異的な余韻を出し、全体の音を包み込む役割をします。
直径40センチほどの響銅製(サハリセイ)ドラ。
その形は太陽を象徴し、余韻の音は長い迫力の重低音は風を表し、鬼神を招く力とされています。
音色や響に深みを出す為、高級品は少量の金や銀を加えた合金で作られています。
済州島では、テヤン・テヨン・ウルジョンなどと呼び、白木綿の布をよってバチを作ります。
・ケンガリ
ケンガリ、クェンメギ、小金(ソーグム)ともいう。
直径20センチほどの響銅製(サハリ製)ドラ。チンとの対比でその形は星を表し、音は雷鳴を象徴するとも言われています。打楽器楽奏の中では全体のリーダー的な存在の楽器になります。
なんともけたたましい強烈な金属音が出ますが、叩き方によって音程が微妙に変化し、持続音に独特の味わいがあるのが特徴です。
農楽隊ではクェンガリの一番うまい人がリーダーをつとめる事が多いです。
済州島ではソルセと呼び、深みのある形で音は少し低め。韓紙をより合わせて柿渋で固めた紐状のバチで叩くので、音も柔らかです。
真鍮で作られたチンより小さい薄い銅鑼で、内側で左手に仕掛けるように持ちながらミュートを調節し、右手の片バチで驚くほど速く複雑に叩きます。
-----------------------------------------------------------------------------------------
これら合奏の楽器にはそれぞれ役割があり、チャンゴは「雨」、チンは「風」、ケイガリは「雷」、プクは「雲」を表現し、雲がざわめいて、風が吹き、雷が鳴って、どしゃ降りの雨が降る、という様に、楽器ごとに自然を表し、音楽で表現しています。
韓国打楽器楽奏で世界的に有名な楽団が、「打楽器楽団サムルノリ」という楽団で、1970年代末に結成され、世界各地の公演で大好評となった打楽器グループです。
「サムルノリ=四物」の名が示すようにチャンゴ・プグ・チン・ケンガリの四つの打楽器からなる合奏グループです。
「サムルノリ」の打楽器演奏は、農楽と巫楽と放浪芸能集団「男寺党」の伝統を融合させたもので、メンバーはみな農楽の優秀な若手演者からなり、男寺党に在籍していた方も。
演目は地方で様々に異なる農楽のリズムや、伝統が失われつつある地方の巫楽の祭式リズムを取り上げています。
韓国打楽器楽奏の魅力は、何と言ってもその力強いビート感溢れる打楽器合奏で、凄まじい迫力がありながら喧しく聞こえず、伝統的な形の持つ説得力と、即興性にシャーマンのトランス性を併せ持つ筆舌に尽くし難い音楽です。
体の使い方や、踊りながらも叩けるという課題をクリアー出来れば演奏自体は難しくはないようです。
楽器が上手く叩けなくても、リズム感に自信がなくても「ケンチョナヨ!(大丈夫!)」
この機会に打楽器合奏を通じ韓国伝統民族楽器が音楽・文化に触れてみるのも良いかも。
次回はアジア 中国へと音楽列車は向かいます。
(ファファファッファッファファ~ララ~ラ~ラ~ラ~ラ~~♪)
--------------------------------------------------------------
◆大阪の韓国伝統音楽の教室
・関西韓国
YMCA:http://www.ymcajapan.org/ayc/kansai/korean_culture/
◆サムルノリ動画
https://www.youtube.com/watch?v=6iAXqqvGMX0
◆男寺党
http://www.namsadang.jp/
---------------------------------------------------------------
*農楽
農楽(のうがく)は朝鮮半島に古くから伝わる伝統芸能である。文字どおり、農民・農村の音楽を意味し、踊りを伴う(農楽舞ともいう)。農民たちが豊作を祈願したり、豊作を祝ったり、時には仕事の疲れを癒すために朝鮮全土で発展してきました。
農楽に使われる主な楽器には、
・チン(징, 鉦):真鍮で作られた大きな銅鑼。全体の音を包み込む役割をする。
・ケンガリ(꽹과리):真鍮で作られたチンより小さい薄い銅鑼。全体のリーダー的な存在。
・チャンゴ(장고, 杖鼓):チャング(장구)ともいう。砂時計型打楽器で、木をくり貫いた筒の両面に動物の皮を張った太鼓。形状は日本の鼓(つづみ)とほぼ同じ。
・プク(북):木をくり貫き、両面に馬や牛の皮を張った太鼓。
・ソゴ(소고, 小鼓):小鼓。小さな太鼓で手に持って踊りながら叩く。
・テピョンソ(태평소, 太平簫):日本のチャルメラに良く似た管楽器。オーボエと同じくダブルリード型の木管楽器。ホジョッ(호적)やナルラリ(날라리)とも呼称される。
このうち、チン・ケンガリ・チャンゴ・プクを用い、リズムを編集し舞台芸術用に体系化して1970年代から80年代にかけて派生したものがサムルノリである。
■農楽(のうがく):https://www.youtube.com/watch?v=BatJ9g4P_LE
*巫楽
朝鮮半島の即興的な器楽合奏音楽。シャーマニズム音楽。もとは巫俗儀式で巫女が歌ったり踊ったりする時の伴奏音楽で,長短(リズム周期)だけが決められており,楽器の特性を生かして自由に演奏する。
■巫楽(シナウイ):https://www.youtube.com/watch?v=B-a-Tqs5AeY
*散調(さんぢょう)
朝鮮の独奏楽器のための楽曲形式で,独特のリズム型(長短(チヤンダン))にもとづく数個の楽章からなり,一般に杖鼓の伴奏がつく。19世紀後半に,全羅南道出身の金昌祚(1865‐1920)が散調としての音楽を確立したといわれるが,その楽曲構造や独特の旋律や器楽的な技巧の類似から,全羅道に古くから伝わる巫楽(シナウィ)という即興的に演奏される器楽合奏の影響を受けて発展させた音楽といえる。つづいて,多くの名手が出現し,それら作曲者名をつけた散調の演奏が広く普及し,とくに金竹坡流,沈相健流,成錦鳶流などは有名。
-----------------------------------------------------------------------------------------
「参考資料」
■新版 民族楽器をつくる 音と楽器のミンゾク楽
関根秀樹 著
■民族楽器を楽しもう
民族楽器センター 若林忠宏 著
■ウィキペディア